東京のやさしさ

東京を好きではないことに、うすうす気がついてる。


空はいつも曇ってるし、
駅の階段はホコリまみれだし、
水道水は飲めないし、
物価は高い。

生きづらい土地だ。


だが、都落ちはいやなので、なんとか踏ん張っている。


最近、その踏ん張りが足りなかったようで、
じんましんが3日間続いた。

とりたてて食物アレルギーはない(ハズ)なので、
おそらく肝臓か、精神が参ってしまったのだろうと思う。

きまって、夜中に出るのが、じんましんのやっかいなところだ。
2回目の発疹は、かなりヤバく、痒すぎて涙が出るくらいヤバく、
救急病院へ。


さすがに救急車を呼ぶわけにもいかず、タクって病院へ向かう。
さっぱり見つからない。
ナビなしのタクに乗ってしまった自分を呪った。

メーターもガンガン上がるし、イライラでさらに痒くなり、
歩いて見つけることに。

夜中の3時で頭はボーっとしてるし、メガネだと視力がさらに低くなるしで、
同じ道をぐるぐるぐるぐる。
見つからぬ、小林外科。


もう、この場で119番したろか、と思った。

すでに2回は通ったであろう、スナックからひとりの女の人が出てきた。
ほろ酔いである。

あまり期待をせずに、小林外科のありかを尋ねた。
案の定、あさっての方向を指差し、なにやら説明している。

ちげーよ。そっちは1丁目だよ。はぁ、また人選ミスか。
でもすごく心配そうに色々説明してくれてるし、無碍にできない…

と、思った瞬間、またひとり、店から出てきた。


「あ、ママさん、このコ救急行きたいみたいなんだけど…知ってる?」
「あらら、大丈夫?救急なら、小林さんのところね。あのレストランを曲がるとすぐにあるから。ね、分かった?あそこの角よ。大丈夫?お大事ねぇ」

ふたりともすごく心配そうな顔で、私が歩き出すのを見届けてくれた。


ありがとう、ママさん。
めちゃめちゃマッチョな、立派な青髭のイケメンママさん。ありがとう。