チョコ好きタバコ好き、んでもARK ROYAL Sweet は旨くない・・・

居酒屋と呼ぶにはいささか高級すぎる趣の串焼き屋「権八」。砂肝一本500円越えの料金設定に驚きを覚えつつも、太くてシャキシャキ有機栽培感たっぷりのアスパラや、ほんの数滴かけただけで味オンチの私でもまろやかさが分かった醤油など、費用対効果ばつぐんの御飯所。
しかしながら、完全分煙。と言うよりむしろ喫煙者が隔離されている。スモーキングエリアは、おそらく100席以上あると思われる店内においてカウンターの10席のみ。特権席を獲得できなかった愛煙家が向かう先はと言うと、隅っこに設けられた喫煙所なのです。
この喫煙席がすごい。小皿やら箸やらが収納されてそうな業務用棚の上に無造作に灰皿が置かれており、椅子なんてのは当然なく、スタンディング吸いなわけです。つらい。なんともみじめ。アルコール+煙草という最高の組み合わせなひと時のはずなのに充たされない。
東海林さだおががこんなことを言っている*1。食事はいつも平穏無事に取れるわけではなく、気分が落ち込んでいる時の「ウツメシ」や、単なる栄養補給としての位置づけで、時間を気にしながら焦って食べなければならない「荒れメシ」があると。「ウツメシ」に最適なのは、手軽に食べれて熱くも冷たくもない「寿司」で、「荒れメシ」と言えば駆け込み3分で終了できる「立ち食いそば」らしい。
煙草も同じではなかろうか。「平穏タバコ」、「ウツタバコ」に「荒れタバコ」。コーヒー片手に友達と歓談しながらの「平穏タバコ」、上司に怒られてうなだれながらベランダで吸う「ウツタバコ」、「やべ、乗り換え前に一本吸っとかなきゃ」と駅プラットホームで半ば義務的に吸う「荒れタバコ」。
久しぶりに再開した友達との飲みはほんとうに旨い。そこにあってしかるべきは「ソウタバコ」なわけだが、予想に反して「荒れタバコ」。嫌煙家の冷たい視線にされされ、ひとり取り残してしまった友達を気にかけつつ、三吸い半でもみ消さねばならぬ。このギャップが充たされない原因だったのだろうかと、考えてみた。

*1:文春文庫『鯛焼きの丸かじり』「荒れメシさまざま」より