花粉ぶんぶん

昨年比30倍の花粉が舞う、2005年春。
街には、まるで昆虫の口もとのように立体的な、新型マスク*1をつけた人たちが溢れ、うっかりくしゃみでもしようものなら、「あれ、花粉症なんじゃない(ニヤニヤ)?」という反応が間髪入れず返ってくる。
「花粉症」は今や、最もホットでトレンディなキーワード。
「目がしょぼしょぼしちゃって。今日は朝からだいぶ飛んでるね〜〜」、「ほんと、まじいやだね」。こんな会話をしながらも、表情はなんだかちょっとうれしそう。
40歳を過ぎてからの同窓会では、やれ高コレステロールだ、やれ高脂血漿だ・・・のように、病気自慢大会が繰り広げられるとよく聞くが、まさにそんな感じ。いかに大変か、いかに辛いか、そうそうよく分かるわと、症状を語り合うその姿は、季節病を楽しんでいるかのように見える。
妙な連帯感があって、実際に苦しんでいる人には申し訳ないけど、たまにうらやましかったりもする。
私は万年鼻炎。鼻がつまり、寒暖の差によって鼻汁がダーーーと出るのに慣れているから気がつかないだけで、ひょっとすると花粉症なのかも知れない。ちょっと風邪っぽいだけだったのに、検温結果を目にした瞬間に急に具合が悪くなることがあるように、自分は花粉症であると認めたら最後、さらに悪化しそうな気がするので、やはり病院には行けない。

*1:あのような形状のマスクって、SARSが蔓延した時期に台湾やら香港あたりで流行ってた気がする。