計算動物

3月20日は上野動物園の開園記念日、入園料フリーとのことで10年ぶりに足を踏み入れた。キッズを押しのけ、カップルにカットインしながら動物を観察。
全体的に覇気がない。そりゃサバンナから、アジアくんだりに連れてこられてジロジロ見られてたら精神弱っちゃうのもわかるけど。
一番やる気がなかったのが象。目の色、肌の質感から察するにおそらく若年、中年、老年の三匹がいたんだけれど、そのうちの一匹、若年象がずっと寝てる。コテッと横になって動かない。年配二匹が心配そうに鼻でツンツンしたり、足でつついたりしてはいるが、ピクリとも動かない。
徐々にギャラリーも増えてくる。ライオンとか馬が寝てるのはなんとなく想像できるけど、あんな岩みたいな象が白昼堂々寝てるなんて、なんとなく不思議なわけで。
「あら、病気かしら??」「象さん死んじゃってるよ〜〜〜」なんて親子連れの声が大きく盛り上がり始めた頃、二匹の行動がやおら活発化してきた。鼻を摺り寄せあって、目配せして、まるでチームミーティングのよう。
二匹間のやりとり後しばらくして、若手がのっそり起き上がった。ほんとにのっそりと。体重が重く、一回じゃ起きられないから、最後には振り子のように反動をつけて起立。「おおぉ〜〜、起きた〜〜!!」とギャラリーは大歓声。子供に混ざって私も大はしゃぎ。
お三方の顔をちらっと見たらなんだかちょっと得意げ。したり顔。ははん、さてはやつら小芝居してたな、と感じた瞬間。
友達が犬に噛まれた時のこと。コンビニで、ゴミ箱に近づいた瞬間、つながれていた中型犬にガブリと一撃お見舞いされた。当然、店から出てきた飼い主に抗議をする。んでも、あぁいうのは現場を押さえないとなんとも立証できない。しかも運悪く、ストレッチデニムの上から噛み付かれたため、傷を見せつけることもできない。適当にあしらわれ、飼い主は去っていた。はぁぁ、痛い、なんでこんな目に、と後姿に睨みをきかせようとした瞬間、犬がくるりと振り返り、歯をむき出しにしながらニヤリと笑ったのだと言う。
動物はけっこうやり手だ。賢く、計算高い。動物園においても、観察されているのは実際のところ動物ではなくて、私達人間なのかも??