両性具有の美

松田龍平が、ますます松田優作化しています。
ボソボソしゃべる感じ、陰気でヤクザな雰囲気。
そして多分、うまくないんだけど、オーラで押し切る演技。


「ハゲタカ」の彼は、そういう意味でとても良かった。
鬱屈した負のエネルギーで生きるオサムくん。
すてきでした。



おそらく、これからもあんな調子で映画に出続けることでしょう。
いいと思います。
お家芸の伝統を絶やさないことは、とても大切です。



しかしながら、彼の美しさが年々失われていくことが、とても残念に思われます。
彼の美しさのピークは、間違いなくデビュー作「御法度」でした。



ほんのり赤味がさした真っ白な肌、切れ長の物憂いな目。
男どもを狂わすあの表情は、まさに白州正子が言うところの両性具有の美です。
「思春期に少年からオトナに変わる〜♪」一歩手前ギリギリの美しさです。
あのテの妖しい美しさは本当に一瞬のもので、はかないからこそ、意味があるのでしょう。



手に入れたい、でも汚してはいけない。
永遠に美しくあって欲しい、でもそれでは意味がない。
そんなパラドックスが、少年美の根源にある気がします。



私は誓って腐女子ではありませんが、15歳の松田龍平を見るとき、
なんとなく彼女達の気持ちが分かる気がします。